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4秒でわかる Pin Point ワールドカップ2006 決勝トーナメント

text by 雅子さま

決勝トーナメント    2006/6/24~7/09


フランクフルト・ヴァルト・シュタディオンフランクフルト・ヴァルト・シュタディオン
フランクフルト・ヴァルト・シュタディオン(kuromomo氏撮影)

 

 6月24日 プラハでサッカー

● みんななぜかプラハの理由
ドイツにいると「もう帰るのか」「日本はまだまだだな」とあちこちで説教を受けまくるのでいたたまれなくなって、プラハへ亡命。ショックのチェコ市民とビール三昧で慰労会もいいかなと思ったのだ(笑)。ところがここプラハはヨーロッパ人だらけ。在チェコ日本大使館の古郡書記官によると、ビールが美味しく安いプラハめがけ、イングランドや北欧の酒飲みは週末プラハに来るのだという。航空運賃を払ってもおつりがでるらしい。どれほど飲むんだ(笑)。確かに美味しい。ワイン党の私ですらここに来て1日2Lは飲んでいる。野菜をあまり食べないここの人たちには栄養源になっているのだろう。肥満の人も少ない

● ドイツースウエーデン  2-0 ミュンヘン
そんなわけで(どんなわけだ)プラハ旧市街の中央広場パブリックビューイングの一員である。右にドイツ軍団、左にスウエーデン軍団、その合間に小さく挟まって見ている。別々の唄がサラウンドで聞こえるのがおかしい。ドイツは徐々に強くなってきている。ポドルスキが開始まもなくとった2点を最後まで守りきったわけだが、バラックのシュートもだんだん的を得てきた。GFの巧守がなかったら2点は取れていた。カメラは自分を叱咤するバラックをロングショットで写し、一挙一動に最近は愛嬌さえ感じさせるクリンスマンそして終始沈黙のカーンを時々カットインする。悔しいがいちいち上手い。クローゼも今日はアシストに徹する。ラームもフリンクスもよく守っている。いらだつスウエーデンはイエローを連発。94アメリカW杯で美少年だったラーションも、これを最後にピッチを去る。プラハからビールを届けてあげたくなった。

☆ 本日のビール Kozel  dunkel タイプ。あっさりしたギネス。婦女子に最適。

  6月25日 He has a luck
● イングランドーエクアドル 1-0 シュツットガルト
「これでベッカムが決めたりすると、ホント神様はいるんだなって思うのよ」そんなことを言った矢先に彼はやってくれた。60分左サイドから美しい弧を描く30mのFK。可哀想なエクアドルのGKモラ。あなたが悪いんじゃない。はっきりいって実力は五分五分。ルーニーもジェラードもゴールを狙うが入らない。後半テリーやファーディナンドの巧守でエクアドルの速攻も何度かしのぐ。ランパードもルーニーがお膳立てしてくれた絶好のチャンスをはずす。Oh, my god! 70分頃からベッカムは守りに徹する。昔ならこんな姿、絶対見られなかった。その後レノンと交代。19歳。右サイドのホープだがベッカムの指定席ゆえこんなことでもない限り出場できない。プレミア最年少出場の記録を持つだけあって入るなり機敏に動く。去るベッカムの後ろ姿を見ながら隣人が言う。He has a luck. 私もその意見に1票。ところでこの隣人よく見ると黄色いシャツを着ている。もしかしてスウエーデンの方ですか?不思議顔の私に彼は答える。だってエリクソンはスウエーデン人だからね。応援してもいいだろう(笑)。そういえば38年スウエーデンはイングランドに負けていないんですよね?でもドイツには50年も勝っていないんだ。こういう会話ができるからだろうか、私はついワールドカップに参戦してしまうのだ。

☆ 本日のビール Radeberger Pilsner サッポロ黒ラベルから苦みを除いた味。親しみやすい典型ドイツビール。

  6月26日 欧州のおきて
● イタリアーオーストラリア 1-0 カイザースラウテルン
いまフランクフルトのJALラウンジにいる。ここはもう日本。目の前のおじさまはカップラーメンを食べている。私もあと30分で機上の人となる。日本はオーストラリアに負けて当然だった。オージーになぜか頭脳が加わりイタリアにひけをとらない試合の運び。
ドイツのコメンテーターGerr Gotlobb 氏は“ルカ・トニ、ルカ・トニ、ルカ・トニ”を連発しているが、単にオーストラリアの選手名をチェックしていなかっただけ(苦笑)。彼のコメントは無駄がなくて好きなのだがアジアを軽視していたのだろう。さて、ビドウカもチッパーフィールドも果敢に攻める。GKブフォンのファインセーブで救われるイタリア。倒された7番を見て、ようやくデルピエロの存在に気づく。彼の時代は終わったんだなあと痛感。ムーアやケイヒルの動きは褒められたものではないが、オーストラリアはイタリアに点を許さない。
90分経過。あー延長か、続きは日本でビデオだ!と思った途端納得のいかないファウルでイタリアにPK。それもキッカーはトッティ。いつ出ていたの?狐につままれたという感は否めない。前半をトルコ系のバーで、後半はドイツ系のバーで見ていたのだがみんなもあっけにとられている感じだ。ひっそりとしていたイタリア人達が大騒ぎをはじめた。ああ道路にフォークを投げないで(笑)。今日の審判はスペイン人。やっぱりヨーロッパの祭なのか、ワールドカップは。カイザースラウテルンで途中まで現場を見て車をとばそうと当初は思っていたのだが、街にいるイタリア人の騒ぎを見て、そんな馬鹿をしなくてよかったとつくづく思った。朝ホテルで会話を交わしたオーストラリア人夫婦はいまどんな気持ちだろうか。「日本はよくやったよ。最後の8分でオーストラリアに奇跡がおきただけだよ」「今日も奇跡がおきるといいね」と言った私のことばはなぜかイタリアサイドに届いてしまったようだ。続きは日本で 。

☆ 本日のビール WARSTEINER premiun verum  サントリーのプレミアムモルツにピリっとした刺激を加えた味。

 

  6月27日 ブラジル記念日
● ガーナーブラジル 0-3 ドルトムント
東京も暑いが湿気のせいかちょっとぐったり気味でテレビを見ている。2回続けてブラジルはドルトムントで戦う。有利である。ここのピッチはちょっと特殊だし(詳細は後日)。ガーナはいい試合をする。両サイドからセンターにあげてストライカーが走りこむというサッカーの古典テキストから抜き出したような試合運びなのだが、ブラジルのようなチームにはむしろそれが対処困難なようだ。20歳のドラマニにひっかきまわされている。おかしい。とはいってもやはり精神力が違うのだろう。オレたちこれじゃヤバイっしょ、といわんばかりに前半ロスタイム、アドリアーノのゴールを合図に後半はサンバのリズムを取り戻す。結果、アドリアーノのゴールはブラジルW杯通算200ゴール・カフーは4回の連続W杯出場でなんと16勝・前半5分でゴールを決めたロナウドはW杯通算15ゴール、新記録を達成という記念すべき試合になってしまった。
そういえば98フランスW杯決勝リーグ第1日ブラジル-モロッコ戦、パリのサンドニで雨にそぼ濡れながら見たロナウドのゴールも今日みたいな感じだった。その時は風邪をひいた 。

 

  6月28日 ちょい悪オヤジの夜遊び
● スペインーフランス 1-3 ハノーヴァー
正直いってフランスはノーチェックであった。フランスの友達から「今年のフレンチはだめだ。ジズー(ジダンの愛称)の条件でマケレレとテュラムまでとっちゃって。おじさんチームだよ」と聞いていたし、アーセナルでは順調なのになぜか代表では成績を残せないアンリも意識していたから。むべなるかな私の認識は完全に誤りだった。GKの35歳バルテスを筆頭に、テュラム(34)、ジダン(34)、マケレレ(33)、ビルトール(32)、ヴィエラ(30)・・・たしかに最年長チームかもしれない。しかし。決して派手なサッカーではないけれどゆったりしたリズムの中でゴール前だけスピーディーになる不思議な音楽を聞いているようだった。ヴィエラとジダンは見事にゴールを決める。ラウルもGKカシージャスもレアルマドリーの同僚であるし、相手方はほぼリーガエスパニョーラのメンツなので、ジダンにとって、この日は普段のサッカーだった。現場のスペイン応援団はどんな気持ちだっただろう。先発起用のラウル(これもどうかと思うが)を早くに引っ込めるし、ビジャも交代させるし、以前拙稿で“かわいい無敵艦隊”と書いたがこれじゃ”お子様ランチ艦隊“。実際スペインチームは全員20代。パワーはあるかもしれないが円熟したセンスには勝てないか。どうでもいいことだけれど、得点したヴィエラとジダンは同じ6月23日生まれ。

 

  6月29日
● ボールと湿気について、梅雨休みの考察
adidasによれば今年の公式ボール「+チームガイスト」の販売が目標の600万個を大幅に上回る1500万個に達したという。テレビをじっくりご覧になっている方はお気づきだろうが、ボールには試合会場・対戦チーム・開始時間が記されている。お茶目。そんなボールが各試合18球提供されている。売れっ子ボールは、ポリウレタンの2層式で熱を利用した製法によるシームレスな表面。だから湿気を吸収することなくゲーム中ボールの状態が変わらない。また過去の32枚パネルから、ひょうたん型8枚+その他の6枚の14枚となり枚数が減っている。adidasデザインチームリーダーのHans-Peter Nurnberg 氏によると“今までで一番スムーズで丸くて厳密に作られたサッカーボール”だそうだ。
イングランドの学者は“このボールをスピンをかけずにストレートに打つとゴールの中で急に曲がる特性があるので(なんでだ?)、ベッカムにはよいボールである”とコメントする。うーむ。そもそもボール、1800年代から1970年までは、茶色の皮18枚を縫って作られていた。しかし視聴者から「白黒テレビでも見やすいボールにしてくれ」との意見が殺到し、FIFAがadidas に“television friendly” なボールをつくってほしいとオーダー。70年メキシコW杯から白黒32枚はぎのボールがデフォルトになった。9日のベルリンでは金色の「+チームガイスト」がお目見えする。イングランドGKのロビンソンいわく”goal keeper unfriendly”なボールは最後にどんな軌跡を描いてくれるだろうか。

 

  6月30日 よくできたシナリオ
● ドイツーアルゼンチン 1-1(PK4-2) ベルリン
後半26分リケルメをカンビアッソに、34分クレスポをクルスに代えた時点で、大丈夫かペケルマン監督!?と思った。悪い予感は的中。その後1分もたたないうちクローゼのヘッドでアルゼンチンはドイツに1-1と同点に持ちこまれる。さあ、ドイツの選手そして応援にも火がついた。今日は前半からバラックの調子がいい。よく走るしシュートも狙う。さて、こんな状態で私が脚本家ならどうする・・・不測のGK負傷交代で3人枠を使い切ってしまったアルゼンチン。ドイツで試合をみた贔屓目もあって勝たせてやりたい。しかしW杯そのものを盛り上げるなら、足を痛めてつらそうなバラックと、途中レスキュー常連になってしまったノイビルに花を持たせて、ドイツ勝たせちゃおうか。カーンに励まされているGKレーマンも絵的に使える!そんなこと妄想をしていたらその通りになってしまった。ごめん。
ところで今年のW杯全監督32人就任後の勝率を調べるとペケルマンは2位の55%。67%で1位だったファンバステン(オランダ)がいない今、データによればアルゼンチンが勝てることになる。一方クリンスマンはダメダメで下から5人に数えられる程。でも彼が途中で入れた3人衆オドンコルは中盤ボールを支配したしボロフスキは1アシスト決めたしノイビルはPKの一番手として決めるし、W杯はデータではなく、ドラマなのだと改めて確信した。主審のルボシェ・ミヘル氏(スロバキア)も素晴らしかった。かなり濃い試合で一つ間違うとイエロー合戦になりがちなのに、前半は選手への注意でおさえ、試合の温度をコントロールした。過日カード乱発となったオランダーポルトガル戦を再現してはいけないと思ったのだろう。いやあ、実にいい試合だった。いまのところ私のNo1。
メッシとサビオラとアイマールのキュートなプレイはリーガエスパニョーラで見ることにしよう。

● イタリアーウクライナ 3-0 ハンブルグ
股間でボールを止めた(失礼。でも事実)カンナバーロ率いるイタリアは、終始カテナティオ(かんぬき)を体現する。ウクライナも初出場とは思えない動きだった。試合の流れを決めた瞬間が3度あったように思う、後半5分、カリニチェンコのCKをイタリアDFがクリア。ファーサイドに流れた球をフシンがヘディングシュートするも、GKブフォン、頭をゴールポストに強打しながらのファインセーブ。7分、シェフチェンコとカンナバーロのゴール前の攻防は、後者に分があり。12分、グセフの鋭い一発をブフォンまたもファインセーブ。そのこぼれ球をカリニチェンコがシュートするがザンブロッタが全身でクリアする。音が聞こえるような猛攻シーン。勝負の女神がウクライナを向いていたら数点は入っていたはずの大チャンスが、砂時計の砂のようにサラサラとこぼれていった。94アメリカW杯で決勝まで行ったイタリアは強かった。
しかし記憶にあるのは顔をゆがめたバッジオだったり、へこたれそうなみんなを大声で盛り上げるバレージやマルディーニだったり、国を背負ってしまった者の悲壮な表情でしかない。今年のイタリアは実に楽しそうにプレイする(除くデルピエロ&トッティ)。ルカ・トニは表情がくるくる変わるし、左右を自在にこなす今大会最強(と私は思っている)センターバック、ザンブロッタはよく笑う。ブフォンにいたっては“映る瞬間にキミはカメラの角度を密かにチェックしてるだろう疑惑”を持ってしまうほど決め顔になる(これぞテレビ観戦の醍醐味)。終了間際のボール支配率は42:58とウクライナがまさっていた。笑う角には福来る、という言い伝えがイタリアにあるかどうかは知らない。少なくとも女神は伊達男の笑顔に惹きつけられた。45分、2人のDFを交わし見事なマルセイユルーレット(ジダンの持ち芸)を披露してくれたシェフチェンコ、試合終了後なぜかイタリア応援席に向かって挨拶をしていた。来期から彼はミランを離れてプレミアリーグのチェルシー(私の贔屓)に移籍する。最後のありがとうなのだろう。記憶に残るシーンの多い試合。

 

 7月1日 悲しいかな、世代コータイ
● イングランドーポルトガル 0-0 (PK1-3) ゲルセンキルヘン
クリスチアーノ・ロナウド(以下ロナウド)のことは本音をいうとあまり好きではない。まず眉を整えているのがイヤ。マンUでプレイをしている時に態度がデカイ。ゴールを決めると斜め45度見上げて雄叫びをあげる、それが下品。21歳にして数々の大企業とスポンサー契約を結んでいるなんて生意気。ええ単なるいいがかりであることは認めます(笑)。でも延長前半6分ジェラードを後ろから巧妙に転ばせたあとニヤリと笑ったロナウドの顔を見て、やっぱりアタシこいつイヤかもと思ってしまった。まあ、これは私の主観。しかしエリクソン監督にとってもそんな存在だったと思う。
ロナウドは開始早々左サイドからフルスロットル攻撃。何を意味するかというと、誰かをマークするのが苦手なベッカムにとって最悪の相手ということだ。翻弄されて足を痛めたベッカムを、エリクソンは後半6分でまたもレノンと交代(拙稿6月25日参照)させる。確かにベッカムは調子がよろしくない。25日のエクアドル戦でも実はハーフタイムに嘔吐していた。しかし、エクアドル戦も10日のパラグアイ戦も勝てたのはベッカムの貢献によるもの。断腸の思いだったと察する。ロナウドに切り込めるのは、同じく怖いもの知らずのレノン。その判断は正しい。しかしPK戦でイングランドの底力ランパードとジェラードまでがはずすとは、エリクソンにも想定外だった。この試合を決めたのは、精神力。何があってもビビらない強靭な魂を、このロナウドという名の青二才は持っている。フィーゴも安心して引退だ。ポルトガルがうらやましい。

 

7月4日 Never give up!
● ドイツーイタリア 0-2 ドルトムント
「いくらカテナティオで名前売れてもさ、やっぱ坊主頭でおぼえられちゃうとヤバいっしょ」「俺たちビジュアル系だし。しかもオレ、この間トッティと途中交代。ここらで点取らないと通りすがりの坊主。ブフォンはずるいよ、頭丸めてないし。お前もユーべだろうが」「そのかわりゴール死守するから。でもさ、ザンブロッタは髪伸びるの早くねぇ?」この3人の名前がわかった人は間違いなくサッカー通。カンナバッロ、デルピエロ(先日は悪く書いてごめん)、ブフォン。みんな所属クラブは不正疑惑で検察の捜査が進んでいるユベントスである。
さてドイツも強くなっているが、イタリアも試合ごとに強くなっていた。この試合、決定力がないから点が入らないというどこぞの国の試合と違って、双方とも攻める攻める。ただDF勢が凄いのと死んでも点入れさせないよという意気込みをもった二人のGKブフォンとレーマンに管理されていたため0-0のまま延長に入ってしまった、見る側としては眠いけど有難い試合だったのである。ちなみにイタリアはW杯におけるPK戦はすこぶる弱く過去3回すべて落としている。他方ドイツは不敗。そんなわけで、PK戦にも持ちこみたくなかったイタリア。見栄とかプライドが最後の2分であの結末を生んだとは思えないが、少なくとも“絶対あきらめないから。俺たち勝つから”というサインが潔かった。世界中の子供が見ていたらいいなと思った。
そうそう途中交代させられたルカ・トニの「絶対得点王になっちゃうもんね」という意志も通じたかも。

 

 

 7月5日 ヴィンテージ・シャンパンサッカー
● ポルトガルーフランス 0-1 ミュンヘン
ホームパーティーをするときシャンパンがあると華やぐし、簡単なフィンガーフードだけで場が持つから楽である。ただこれがヴィンテージ(いい年代の)シャンパンになると話は別で、さてどんな料理をしたらよいかとノートをひっぱりだし頭を悩ますことになる。そもそもヴィンテージの価値をわかる大人なゲストの時にあけなくちゃといった根本的な問題も生ずる。今日テレビに何度も映されていたが98フランスW杯のフランス元監督エメ・ジャケが率いて優勝したサッカーは“シャンパンサッカー”と称された。強い才能があったわけでもないチームを美しい組織サッカーに昇華させ、ノンシャランな動きを特徴とし、力まずお気楽に見られたサッカー。
さて今日の06フランスサッカーは、実に相手を研究していた。まず話題のデコを完全に封じた。ロナウドのドリブルコース、シュートの癖を把握、テュラムを中心にアビダル、マケレレ、ヴィエラが波のような動きでボールをさらりと奪う。ポルトガルの隠れた原動力であるマニシェや長身メイラの健闘も空回りに見えてしまった。さらにポルトガルにとって不幸だったのは、狡猾なクセを審判に把握されていたこと。シミュレーションこそとられなかったが、カルバリョ、ロナウド、そしてフィーゴの挑発行為はさらりと流されてしまう。観客もロナウドに冷たく彼がボールを持つとブーイングが起こるのが、ブラウン管(すでに死語か)を通してでもわかった。
昨年コンフェデ杯のアルゼンチンーメキシコ戦をハノーヴァ-で観戦したとき、ある選手がボールを持つと必ずブーイングが起きた。横に座っていたドイツ人に尋ねたところ「彼はこの前の試合でとても卑怯なプレイをしたんだ」と答えた。大人のコード。余談だが過日のイングランドーポルトガル戦におけるロナウドの諸行為(拙稿7月1日参照)はここ数日イングランド各紙で取り上げられており特にルーニーを売った一件でもうプレミアではプレイできないだろうと書かれている。大人の世界ではマナーをわきまえなくちゃ。やっほー。ジダンと支配人ドメネク(彼については別項にて)がふるまってくれたヴィンテージ・シャンパンに私は早朝から心地よく酔っている。

 

 

 7月6日
● カメラマンが見つめているもの
テレビ観戦していると、試合中に挿入される画面がその日によって様々であることに気がつく。昨日のポルトガルーフランス戦では、W杯直前中国との親善試合で足を骨折し出場できなくなったFWシセ(髪が伸びていてカッコよかった)、我が師プラティニ、若者や女性でなく壮年の応援団、エメ・ジャケらを何度も映していた。
さて今大会、25台のカメラがひとつの試合を虎視眈々と追う。カメラマンは普段ブンデスリーガを撮っていて今回のために選ばれた精鋭25人。足もとのえぐり具合やコーナーキックのときの回りこみショットなんかは日頃見られない類なのでドキドキする。懸案のアンジョンファンの謎(拙稿6月13日参照)を明らかにしたく、ミュンヘンにあるIBC(International Broadcasting Center)、今回の映像をすべて統括し国際映像として世界に発信している機関であるが、ここに常駐している中村氏に「ドイツ人の中でアンジョンファンは有名なんですか」と尋ねてみた。するとレギュラーの25台に加え、試合国は3台づつ自国カメラを送りこめるとのこと。つまり韓国のカメラマンの仕業だったというわけ。ああ、すっきりした。
思えばブラジル戦はいつも黄色い露出度の高い女性ばかりが映っていたし、イングランドはSun やDaily Millerといったゴシップ紙の国らしく、小太りのフーリガン達かビクトリア・ベッカムやランパードのガールフレンドだった。 ちなみに大会開始以来、還暦ベッケンバウアー大会委員長とその隣に21歳年下の恋人ハイディさん(肩まで金髪のちょい派手女性。元バイエルン・ミュンヘンの秘書)が必ずといっていいほど映っていたのを覚えているだろうか。16強以降ハイディさんがいないことが多いなと思っていたら、6月23日にこの二人、オーストリアで極秘結婚式をあげていた。2人の間にはすでに子供が2人いて公然の関係だったとはいえ、ホッとしてちょっと休みたくなったのかもしれないなどと書いている私もゴシップ系ということか。さて、フランスは壮年応援団を何度も映していたが、98W杯フランスチームのレプリカシャツを着用しているオヤジたちをことさら追っていた。10数回挿入されたエメ・ジャケ。カメラマン達の意志が感じられておかしい。フランス再び、は成るだろうか 。

 

 

 7月7日
● Budをめぐる戦争と平和 (ちょい長)
しかしこの1ヶ月はビールを飲んだ。ワイン党の私には記録である。当然スタジアムでも飲んだわけだが勿論公式スポンサーのBudweiser。相変わらずの薄さにこれは水だわなと思いながらぐびぐびやっていたが、そのおかげで記憶も発想も遮られることなく90分過ごせたのだからサンキューといわねばなるまい。現場の看板がBud Bud の2回重ねだったことを諸兄は覚えているだろう。米国AnheuserBusch社はヨーロッパではBudweiser表記ができない。Budweiser はそもそもチェコにあるビール。1265年に醸造所をつくり、16世紀にチェコ王室御用達指定を受けた由緒あるビール。その名前をちゃっかり拝借したのがドイツ系移民のブッシュ氏。1876年に米国で会社を設立、売り出したビールにBudweiserと名前をつけ商標までとってしまった。チェコ側は1895年にBudweiser Budvar(ブドバイゼル・ブドヴァ-)社を設立。現在ブドヴァイゼル社はアンホイザー社を相手取って各国において訴訟の最中。今大会は参加国にチェコがあるため表記をBud で統一しているわけだ。最近スタジアムの看板表記がBud 百威 に代わっていたが、これは次の大きなマーケット中国を意識してと評される。中国でBudは百威卑酒と書くが、シェアでは青島ビール等国産の後塵を拝している。嗚呼素晴らしき哉サッカー・マーケティング。
ところでチェコ産ブドヴァイゼルをプラハで探して飲んでみた。どこの店にでもある類のビールではないようだ。ピルスナーにしては色が濃く、鉄分を感じさせるコク。なんとBudは平和な味であることか。
さてもう少しおつきあいいただきたい。Bud という水でビール大国ドイツの人達が満足できるはずもなく、当然“スタジアムでドイツ産ビールを売れ”コールが起きる。その願い叶ってスタジアムゲート外ではBitburger(以下Bit)というビールを販売してよいことになった。Bitは幅広く人気のあるビールでフランクフルトの酒場ならほぼどこでも生が飲める。飲み終わったBudのプラスチック容器を戻しにいきデポジットの1ユーロをもらう人の列(私もその一人)がスタジアムでは見られたが、半透明のヤワなコップでビールを飲む人たちも多からずいた。彼らはBitを飲んでいたわけだ。ドイツ国民には常識だったらしい。BitのCMというと代表チームが酒場でサッカーをやっていてクリンスマン含むドイツのセレブたちに当たりそうなボールをカーンが防ぐ、そんなお茶目な内容だった。レーマンが正GKとなってから大会中どれほどオンエアしたのかわからない。3位決定戦は待望のカーンがピッチにたつ。8日の21時ようやくBitburger社宣伝部は溜飲をさげるのだろう。Prost!(乾杯)。

 

 7月8日 純ドイツのあした
● 3位決定戦 ドイツーポルトガル 3-1 シュツットガルト
前半15分パウレタが右足で狙ったシュートをGKカーンが読みきってセーブした時、まだ0-0にも関わらず、これはドイツが勝つなと確信した。サッカーでは流れを決める瞬間というのがときにある。パウレタはW杯欧州予選では最多の11得点を記録、ポルトガルの主砲といわれていたが、いざ本番になると6月11日のアンゴラ戦以後シュートがない。シマンからの美しいスルーパスはパウレタにとって絶好かつ最後のチャンスだったのに、彼はそれを活かせずカーンという壁にさらりと負ける。ドイツ対ポルトガルの縮図。
その後ポルトガルはデコを中心にゲームを展開。ボール所持率は6:4で勝っていたものの、なぜかドイツが優位に見えた。理由は若造たちが伸び伸びとプレイしていたからだろう。今日は右サイド先発だったラームはしつこくロナウドをマークするし、20歳のヤンセンもゴール前を果敢に守る。後半爆発したのが21歳のシュバインシュタイガーだ。短時間で2得点はファンタスティックで(拙稿6月9日参照)この勢いなら今大会初のハットトリックなるかと淡い期待をするが、途中交代。残念。さて、5点と得点王の可能性があるクローゼ、それに次ぐ3点のポドルスキーを躊躇なく交代させたクリンスマンについて。得点王の可能性があるからと不調なロナウドを最後まで出場させたブラジルの人情派パレイラ監督の真逆に位置するように思える。しかしヒツルスペルガー、ハンケといったベンチウォーマーに一瞬でもW杯出場の機会を与えたこと、レーマンを正GKとしつつ3位決定戦でカーンを起用したことは彼なりの思いやりなのだろう。おしゃれに無頓着で、高校あたりにいるやたら姿勢と威勢のいい用務員のごとく見えるクリンスマンだが、実は大した策士だったということがわかっただけでも、ドイツの未来が明るくみえる。いいなあ 。

● バラックの見せ場
今日の試合にバラックは怪我で欠場する。このドイツ代表キャプテンが東ドイツ出身なのは周知のこと。得点源のクローゼ、ポドルスキーがポーランド出身であることはご存知だろうか。クローゼは8歳、ポドルスキーは6歳の時に親と一緒にドイツに来る。二人とも「サッカーで目だって友達をつくるしかなかった」そうで、二人で話すと時々ポーランド語になる。もしドイツが優勝していたら。移民たちにとってさぞ勇気が沸く出来事になったであろう。ドイツという国は未だに移民への排斥意識が強く、就労機会をめぐってのトラブルは表面にこそ出ないが英国以上かもと聞く。上川主審のホイッスルが鳴り響いた最後の瞬間に、偶然にも3人はピッチにいなかった。
3位のメダル授与式でメルクル首相(彼女は実によくスタジアムにいた。いい人だ)はバラックと顔を寄せて何を話していたのだろう。フランクフルトの高層ビルにadidasの巨大看板がかかっていて、カカとバラックが切ない表情をしていたのを思い出した。02日韓W杯で不完全燃焼だったベテラン達、デルピエロ、トッティ、ジダン、アンリは今大会でここぞという見せ場をつくった。バラックの見せ場は南アフリカになるのか。この29歳はやりそうな気がする。

 7月9日 全員守備 全員攻撃
● 決勝戦 イタリアーフランス 1-1(PK5-3) ベルリン
延長戦はイタリアがボールを持つとブーイング、フランスが持つと歓声、これが秒単位でサラウンドシステムのように繰り返される。まるでフランスのホーム。さぞイタリアはやりにくかっただろう。でも「こりゃどういう展開だ!?」と思っていたのはむしろ観客だっただろう・・・試合開始6分マテラッツイのファウルがフランスにPKを与える。当然キッカーはジダン。ゴールポストにふわっとあたるチップキック(トッティの得意技)を見事に決めフランス先制。前半19分ピルロの右CKをDFマテラッツイが頭にあわせGOOOAL(デジャブ?予選の対チェコ戦でマテラッツイは似たゴールを決めている。拙稿6月22日参照)!早いうちから1-1。濃くて点の入る決勝戦になるぞと喜んだのは私だけではあるまい。
ところがその後、なかなか点に結びつかない。30分アンリがガットゥーゾを跳ね飛ばしたのには驚いたが、双方が同レベルでぶつかるため動きの強さ速さが見事に相殺される。後半に入りフランスは猛攻開始するもカテナティオは開かない。ピルロもちょんまげのカモラネージもよく攻めるし守る。アンリの足を100%封じるカンナバッロはダイヤ製のかんぬき。そして延長後半5分、ジダンがキレる。マテラッツイに何を言われたのか知らないが彼の胸に頭突きをくらわし一発レッド。この時点で既にリベリもアンリもピッチにいない。フランスチームの焦燥と無念さがじわじわと芝に広がった瞬間だった。
当然のようにPK戦がはじまり、PKに弱かったはずのイタリアは全員優雅に決めて優勝をもぎとった。

ところでイタリアとフランスの決勝戦を誰が予測していただろう。ジダンのドラマはどこでシナリオが変わったのだろう。なぜイタリアは優勝できたのだろう。
両チームが決勝まで残れたのは、メディアがW杯開始前に両チームのことを冷酷に評してきたからではないかと思っている。リッピ監督はW杯開始後も「先発を発表すると出ない選手を質問攻めにして悪く書くし、発表しないと勝手に予想して選手を傷つける」と激怒、会見を途中退席した。凄かった。フランスメディアなんぞはドメネク監督に謝罪すべきである。人選から戦術、選手間の不仲を暴露したり、攻撃キャンペーンを彼が就任以来展開していた。そんな両チームが海外の下馬評にあがるはずもなく、選手達はマイペースで予選リーグを勝ちぬけ、ブラジルやイングランドの如くおだてられることもなく、平常心のままコンディションをあげていく。16強以降、態度ががらりと変わったメディアについて、2監督は苦笑していることだろう。

で、ジダンである。16強以降、ジダンに捧ぐW杯、神様のラストダンス、華やかな形容詞が彼を彩りだす。実際、準々決勝ブラジル戦のアンリへの美しいパス、準決勝ポルトガル戦のPKと脚本はどんどん見せ場をつくる。マテラッツイへのheadbutt映像を何度も見せられるたび、あーあバカだねえと思うのであるが、振り返るとこのジダンという男の子、そういう気質の人なのだ。98フランスW杯では一次リーグのサウジ戦で相手選手を踏みつけて(!)2試合出場停止。また6月18日の韓国戦で交代&次試合出場停止処分を受けたあと、フランス控え室のドアを蹴って壊している(ここはライプチヒの名所として保存されるらしい)。ま、100%完璧な人間なんていない。「こんなことで現役引退を終えていいのでしょうか」「ジダンは有終の美を飾れなかったようです」テレビ局の皆さん余計なお世話だ。見せ場の多い選ばれた人間は、時々なんらかの形で税金を払わなくちゃいけないことがある。10日ジダンは今大会のMVPを受賞した。帰国したジダンにシラクがこう言った。“what I want to tell you is that the whole country is extremely proud of you.”フランスは男の子の扱い方をよく知っている。

イタリアは街中大騒ぎ。この国にとってサッカーは特別、いや格別である。日本や韓国のように人気の俳優や歌手がそんなにいるわけでもなく、男の子がなりたいものダントツ1位がサッカー選手。ちょっとルックスがよくて運動の出来る子(とその親)はみんな小学生からクラブチームを物色する。サッカーはうまくなかったけど頭はいいから会社を持ってます・政治家になりましたという人間は、サッカーチームを買う。ベルルスコーニ前首相のミラン、乳製品会社パルメイラスのパルマがいい例だ。そのセリエA(1部リーグ)が大規模な不正疑惑で揺れている(拙稿7月4日参照)。ユベントスは3部以下への降格、ミラン、フィオレンティーナ、ラツィオは2部への降格が求刑されており近日中に確定すると来シーズンは一大事。つまり代表チーム23人中13人は失業の危機にさらされるわけである。今大会、イタリアは優勝という大儀もあったが裏テーマとしては、選手ひとりひとりの就職活動でもあった。得点した選手を数えてみるとピルロ、イアキンタ、ジラルディーノ、マテラッツイ、インザーギ、トッティ、ザンブロッタ、ルカ・トニ、グロッソ、デルピエロと10人になる。カテナティオのイタリアが全員攻撃するなんて、誰が予想していただろう。それほど、セリエAでサッカーすることは彼らの存在理由なのだ。フランスの 得点者はアンリ、ビエラ、リベリ、そしてジダンの4人。このひと月でイタリアの底力を見せてもらった。とても楽しかった。





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2016

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