■中庸・無為無策を尊ぶ　/　強い自我(克己心=向上心+信念+規律)2

若造　　中庸を尊ぶというのは、「私は思考を停止しています」という告白だとぼくは思うな。思考を停止し、価値を追求しない旧日本人社員が発言権を持ち続ける旧日本型組織では、自前の改革はほぼ不可能だよ。
　必要なのは外圧だね。だからぼくたちは絶望しているんだ！

おやじ　人間やはり強くはない。しかしそれがまた、一面の社会の現実なんだ。だから過激なことは受け容れられない。われわれはそういう日本人としての精神的や土台の上に会社組織を構築しているわけだから、そこをわきまえて行動する必要があるんじゃないのか？

若造　　「みんなが弱いから」といって、自分もその流れに身を委ねるような気には、ぼくはならないね。まず自分自身に打ち克つことが、自立できるかどうかの境目なんだから。
　競争市場の中で生きていくためには、常に自分自身の価値を磨き続けるしかない。ぼくは、常に現状を否定して改善しようという向上心と問題意識を持ち続けたいと思うし、どんな大きな問題でも、必ず解決できるという信念を持って正面から逃げずに問題にぶつかっていきたい。そして常に自分の仕事の結果を批判的に検証して、「今のあり方でいいのか」を考えたいと思う。だから「本当に価値があるものとは何か」を勉強し続けたいんだ。

　それと、世の中にはルールがある。守り続けなければならない高い普遍的価値があるんだということを、常に念頭に置いておきたいと思ってる。それは価値を追求しない旧日本人社員が盲目的に守っている信仰ではなくて、まだ発見されてもいないかもしれない真理だが、それは確実に僕たちの行動に光を投げかけている。生きている目的の一つは、それをたずねることにあると思う。
　そのようにして自分自身を信頼して歩いて行きたい。そしてそういう人がもっと増えてくれればいいなと思ってるんだ。