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「個」の力を爆発させて真の「リ・ストラクチャリング」を行おう 取締まられ役返上

取締まられ役返上
エレクトロニクス
企画部門
2000.1.11

 ようやく新千年紀、2000年を迎えた。しかし、世の中は相変わらず「リストラ」の大合唱がこだましている。

 しかし、いつからまた誰がrestructuringを「リストラ」と呼ぶようになったのだろうか。「リストラ」という短縮名詞には、ある意味で日本のカイシャらしい後ろ向きな匂いが漂うではないか。
 なんでも縮小方針で短期的な帳尻合わせをすることがrestructuringではない。合わせて、長期的な成長復帰を期して将来に向けた先行投資・戦略展開を「真に」おこなうことが本来の意味のはずである。
 しかし「リストラ」には緊急回避対策の後ろ向きな匂いが漂うのはどうしたことか。ここにはやはり「リスク回避・無責任型」のカイシャ文化が匂ってくる。
 即ちカイシャの「リストラ」とは「何かを変えること、変えることに対して自分もいくばくかの参画をしているぞ」というアピールの集合体に思えて仕方がない。個人の思惑の集合体だから、そこには全体としての調和や戦略が達成される可能性は極めて低いと言わざるを得ない。「参画したこと」が目的でありゴールになってしまうだから。

「自分もいくばくかの参画をしているぞ」とアピールすることで何が起こるか。 現場から生まれつつある芽が、そうした人達の思惑でねじ曲げられてしまうのではないか。
 社内のどこかで新しい時代に対応すべく自主的な改革の動きが始まったとする。ところがそうした「芽」は注目されると同時に人々の思惑の対象となり、社内政治の道具となってしまう可能性が高いのである。

 経営幹部と呼ばれる人達の一部は、そうして「現場の自主的な動き」で生まれた動き・部隊を、「発展的拡大」の名のもとに己の指揮直轄下に置いて「虎の子」のように扱う。しかも多くの場合、自分の思惑に従ってこの新生部隊の路線を微妙に修正し、自らの論功として生まれた動きであるかのようにアピールする。
 こうした「自主的な動き」は直轄指揮に置かれた瞬間に「微妙な修正」により魂を失い、貴重なエネルギーを失ってしまう。それまで自分の自主的なエネルギーによって頑張ってきた新生部隊の 「個」は、旧来依然とした考え方を持つ幹部の「指示・命令」を受けることで萎縮してしまうのだ。
 こうした新生部隊は、そこに属する「個」が、組織の力や指示によってではなく「個人」として社内外のキーパーソンを集め、一人一人が「プロデューサー」的マインドを持って活動することで、自分のやっていることを「自分が信じて」おこなえるからこそ、有機的な成長を遂げるはずなのに。

 現場の「部下育成方法教育」などでは「これからの育成は命令型ではなくコーチ型でなければならない」とコーチングの考え方を取り入れた(と思われる)ご高説を賜りながら、トップのマインドがそれを体現している例は残念ながら少ないと言えよう。
 思惑に基づく不用意な「命令型指示」は、こうして「個」が「自分を信じる」エネルギーを削いでゆくことになりかねない。



 ならばどうしたら良いのか?
 こうした不幸が発生する理由の一つは、経営幹部や戦略スタッフと実行部隊の間の目に見えない乖離ではないのか。「僕、考えて指示する人。君、実行する人」という図式では一体感は生まれない。現場の自主的なエネルギーを全社的な活動に発展させるためには、それをプロモートする幹部なり戦略的スタッフは実行局面でもコーチ的役割で自らがその実行に加わり、コミットメントを示すことではないか。専任で加わるのが難しければ兼務でも時限的参加でも構わない。

 そしてもう一つ、難しいながら重要なのは「コーチ型」として活動に加わることであって「命令・上官型」で加わってはならない、ということだ。一つ一つの「命令」で縛るのではなく、ある一定期間の柔軟な活動を保証し、その結果に基いて成果を判断すれば良い。「現場」の「個」の力は、旧体制が自らの経験によって思うほど、頼りないものではないはずだ。 「個」のエネルギーを真に大切にしてこそ、一体感が生まれ「リ・ストラクチャリング」は達成され、成長に向けた再構築が実現されると自分は信じる。こうしたエネルギーが弾けるばかりに爆発する、そんな年でありたい。
「個」の力が充実すれば、個人各々にとっても変革は恐れるに足らないことに気が付くはずだ。この意味で、個人の「リ・ストラクチャリング」が求められている。

 2000年と書いて気が付いた。「0(マル)」の並ぶ年であれば良いが、「0(ダンゴ)」の並ぶ「だんご三兄弟」状態が続いては、いつの間にか「かたくなりました」でTHE ENDである。プロデュース・マインドをベースにした「個」の力の爆発で、有機的な一体感が既存の組織・体制の枠を超えてあちこちで注目される、そんな年でありたい。



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